機械技術者の自己啓発支援講座(第21回)
機械技術者のための
 
工業力学入門
 □ 連続体の慣性モーメント
機械技術者が日常の業務を進める上で必要となる力学の具体的で実践的な活用方法の習得を目指します。
前回で、回転運動する剛体の慣性モーメントについて考えました。その結果を拡張して、ここでは連続体の慣性モーメントについて考えます。

8.4 連続体の慣性モーメント
 

図に示すように、物体Aは実際は連続体ですが、微小な部分の無数の集まりだと考えます。固定軸Oから、微小部分までの距離をr とし、微小部分の質量をdmとすれば、微小部分の回転軸O回りの慣性モーメントd Iは、
 
                        d I =r2dm 
 
で与えられます。物体Aに含まれるすべての微小部分の慣性モーメントの総和が、物体Aの回転軸O回りの慣性モーメント I になります。すなわち、式で表わすと次式のように積分の形になります。
                                                                 

(例)【中空円柱の場合の慣性モーメント】
それでは、具体的に、内半径r、外半径R、長さLの中空円柱の慣性モーメントI を求めてみます。密度をγとします。
 
                      

 
 
 【主な形状の物体の慣性モーメント I の式】     ※ 図中、Gは重心であることを表わしています。
 
(1)直円柱
 
    
   
 
(2)中空円柱
 
     
     
 
(3)直方体
 
   
   
 
(4)球
 
   
 
   
 
 慣性モーメントにおける
      平行軸の定理

 
             

 

8.5 連慣性モーメントにおける平行軸の定理
 
 
上図のように、一般に公式集に示される慣性モーメントは、基本的な円柱、角柱形状などの物体について、その重心を通る軸まわりのものである。実際の機械装置では、物体が回転する場合必ずしもその物体の重心軸まわりに回転するとは限らない。また、実際の設計では、複雑な形状の物体について慣性モーメントを計算しなければならないことが多いが、その場合は基本的な形状が組み合わさったものとして計算する。
 
物体がその重心軸からある距離離れた軸のまわりを回転する場合の慣性モーメントは、『平行軸の定理』に基づいて計算する。
 
                   
 
 
 
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