機械技術者の自己啓発支援講座(第14回)
機械技術者のための
 
工業力学入門
 □ 演習問題(力の大きさと向きを求める問題1)
機械技術者が日常の業務を進める上で必要となる力学の具体的で実践的な活用方法の習得を目指します。
先回は、今までの学習範囲についての理解度確認テストでしたが、今回以降しばらく『力の大きさと向きを求める問題』を準備しました。力の大きさと向きを求める作業は、機械設計を行う上で基本となる作業です。
 
〔演習問題〕

【問題1】図のように、天井からつるされた糸ABCの点Bに、質量m=25kgの物体をつるした。点Aで糸が40°、点Cで65°になった。糸ABおよび糸BCに働く張力を下記の手順で求めなさい。

(1)B点に作用する重力Wはいくらですか。
(2)糸ABおよび糸BAが点Bにおよぼす力をTAB、TBCとして図中に書き込みなさい。
(3)xy座標を設定しなさい。
(4)力TAB、TBCのx方向およびy方向分力を図示しなさい。
(5)x方向およびy方向の力のつり合い式を記述しなさい。
(6)張力TAB、TBCの値を求めなさい。
            

〔解答〕
 
(1) 重量W=質量m×g=25kg×9.81m/sec2=245.25N
(2) 下図の通り
(3) 水平右方向をxの正、垂直上方向をyの正とする(下図参照)。
 
             
   
(4) 上図に示す通り。
(5) x方向の力のつり合い式(狽ex=0)
           −TABcos40°+TBCcos65°=0          (式1)
 
    y方向の力のつりあい式(狽ey=0)
             TABsin40°+TBCsin65°−W =0       (式2)
 
   (式1)、(式2)は、sin、cosを計算して式に代入すると次のようになる。
           −0.766TAB  + 0.4226TBC  =0        (式1´)
             0.6428TAB  + 0.906TBC °=245.25N     (式2´)
 
   (式1´)より、 TAB = 0.4226/0.766 TBC =0.5517TBC
   これを (式2´)に代入して、
 
    0.6428×0.5517TBC + 0.906TBC =245.25N
                    1.261TBC =245.25N
 
                 ∴ TBC=194.5N、 TAB = 0.5517×194.5N =107.3N
 
                                          Ans  糸ABの張力107.3N (140°の角度) 
                                               糸BCの張力194.5N ( 65°の角度) 
  
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