6.2 摩擦角
下図に示すように、斜面に質量mの物体をのせて斜面の傾きをだんだん大きくしていくと、やがて物体はすべりだす。そのときの角度をλとすると、つぎのつりあい式が成り立つ。
物体がすべり出すときの斜面の角度λを「摩擦角」という。物体がすべりだすときの斜面の角度λを測定すれば、上式より静止摩擦係数μの値を求めることができる。
f : 静止摩擦係数(−)
μ=tanλ λ :摩擦角=(物体がすべりだす時の斜面の傾き(°、あるいはラジアン))
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〔演習問題〕 |
【問題6.3】
(1)板の上に物体を乗せ、板を傾けていったところ、水平に対して板が23°傾いたとき物体がすべり始めた。板と物体間の静止摩擦係数はいくらだと考えられますか。
(2)板の上に乗せた物体と板間の静止摩擦係数が0.25であるとき、物体は板の傾きが何度になったときすべり始めますか。
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〔解答〕 |
(1) μ=tanλであるから、
μ=tan23°
=0.42
(2) μ=tanλ より
λ=tan-1λ
=tan-10.25
=14.04°
Ans (1) 0.42、(2) 14.04°
【備考】
tan-10.25 は、「アークタンジェント0.25」と読みます。この計算を、自分の関数電卓でできますか?
通常は、0.25とキー入力して、「2ndF」キー(黄色のキー)を押したあと、「tan-1」のキーを押します。
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6.3 ころがり摩擦
下図に示すように、重量Wの球や円板あるいは円柱などの物体が、Fという力を受けて平面上をすべることなしにころがる場合を考える。物体も平面もともに剛体ではないため変形して、図に示すようにへこんだ状態になる。このとき、A点回りのモーメントのつり合いより、物体をころがすのに必要な力Fを与える式として、下記の式が得られる。
すべり摩擦の摩擦係数が無次元である(単位を持たない)のに対して、ころがり摩擦係数は、長さの単位(mm)を持っており、本質的に意味が異なる性質のものである。ころがり摩擦係数は、すべり摩擦よりはるかに小さい値である。
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第7章 機械効率
どんな機械装置も、多少の摩擦をともないながら稼動する。モータや内燃機関等の原動機などが機械・装置に供給した仕事の一部は、機械・装置内の部品などを摩擦力に打ちかって動かすための仕事として消費される。そのために消費された仕事は、本来の仕事をするのに役立たない「損失仕事」であり、これを「機械損失」とよぶ。
そこで、機械・装置などに与えられた仕事(「供給仕事」)と実際に機械・装置などが外部に対してなす仕事(「有効仕事」)との比をとり、これを「機械効率」という。
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