機械技術者の自己啓発支援講座(第2回)
機械技術者のための
 
工業力学入門
 □ 力
 □ 重力と重力加速度
機械技術者が日常の業務を進める上で必要となる力学の具体的で実践的な活用方法の習得を目指します。
 

1.3 力
静止している物体は、外から力を加えない限りいつまでも静止し続け、等速度で運動している物体は、 いつまでも等速度で運動を続ける。逆な言い方をすれば、静止している物体を動かすには、外から力を加える必要があり、 等速度で運動している物体の速度を変える(加速する)ためには、外から力を加える必要がある。
 
すなわち、

 
 質量1kgの物体に、1m/sec2の加速度を生じさせる力を1N(ニュートン)という。

         1N=1kg×1m/sec2
         力(N)=質量(kg)×加速度(m/sec2)



 
〔備考〕 ニュートンの法則
・静止している物体は静止し続け、等速度で運動している物体は等速度で運動し続ける性質のことを慣性といい、 この法則のことを「慣性の法則」または
「ニュートンの第一法則」 という。
・上式で表わされる力の定義を
「ニュートンの第二法則」という。
 
〔備考〕

 われわれが生活している地球上では、 運動をしている物体は空気などの摩擦抵抗のため減速し、やがて静止するにいたる。すなわち、 いつまでも等速度で運動を続けることはできない。 このことは、摩擦抵抗が作用するためであり、別の問題である。
 


1. 4 重力と重力加速度
(1)重力とは

空中でものを離すと、その物体は下へ(正確には、地球の中心方向へ)向かって落ちる。これは、物体と地球間に 「万有引力」が働いているからある。実際には地球は自転しているため、地球上の物体は万有引力だけでなく、 「遠心力」の影響も受けることになる。この二つの力、
「万有引力」と「遠心力」の合力が「重力」である。
物体は、この重力によって地球の中心方向へ引っ張られ、落下して行く。
〔備考〕
 重力の大きさには、赤道上と極(南極あるいは北極)とで、 遠心力の影響でおよそ0.5%の差がある(極の方が大きい)。高さによっても違い、1mでおよそ3×10-5Nの差がある。

 

    

         〈赤道で喜ぶ人〉              〈赤道で損する人・お金持ち〉
 
※遠心力は、北極、南極で0、赤道で最大になるため、赤道直下で重力は0.5%軽くなる。
 


2)重力加速度
 たとえば、ビルの屋上から物体を落下させるとその速度はどうなるか。 9.81m/sec2の加速度で加速し続ける。この加速度のことを「重力加速度」gという。
            

重力加速度 g = 9.81m/sec2



 
(3)重さ(重量)
 
 力の定義は、
    
力(N)=質量(kg)×加速度(m/sec 2
 
であるから、質量1kgの物体には、9.81Nの重力が作用する(1kg×9.81m/sec2=9.81N)。
物体に作用する重力の大きさのことを「重さ」あるいは「重量」という。
 

 
    
重さ(重量)(N)=質量m(kg)×重力加速度g(m/sec 2)
 

〔備考〕 万有引力
 質量のあるすべての物体同士はお互いに引っ張り合っている。この引っ張り合う力のことを万有引力という。 この万有引力を発見したのは、有名な物理学者アイザック・ニュートンである(発見時の話として、リンゴの逸話(作り話し?)が残っている)。
 この万有引力は,お互いの質量に比例して、距離の2乗に反比例する。質量60kgの人同士が1m離れたところにいる場合、 お互いに、2.4×10-7Nの力で引き合っている。しかし、質量60kgの人に作用する重力は、588N(=60kg×9.81m/sec 2)であるので、人同士が引き合う力は、重力の24億分の一に過ぎないので、普段は何も気にならなくてすんでいる。
 
〔備考〕 重力単位系とSI単位(国際単位)系
 従来、質量1kgの物体に作用する重力の大きさを「1kgf」または「1kg重」と呼んでいた。  (質量の単位「kg」と区別するために、force(力)の「f」や「重」を付けて区別していた。)
 
そして、力の単位としてこの重力(「1kgf」または「1kg重」)を用いていた。 これが重力単位系である。われわれは、日常生活において重力で「力」を感じているので、重力単位系は直感的で分かり易い。 しかし、重力単位系には、重力は地球上(例えば、赤道直下と南極あるいは北極)で一定でないとう不都合がある。

そのため、力の定義(ニュートンの第二法則) に沿って力を表わすようになった。これが、SI単位(国際単位)系である。ちなみに、力の単位Nは、ニュートンを記念して用いられている。
 
〔備考〕 より正確な重力加速度の値
 
通常、重力加速度g の値は、9.81m/sec2  として計算するが、より正確な値は
   g= 9.80665m/sec2 である。


 
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