レポート  ・ちょっと気になるちょっとレアな焼酎   
 
元祖プレミアム焼酎といったら何と言っても『伊佐美』です。昭和60年(1985年)頃にはすでに幻の焼酎として入手困難なことで有名で、平成15年(2003年)頃から始まる本格焼酎ブーム以前から高値でオークション取引されていました。十数年前の全盛期には、東京の有名クラブで一本(1800ml)数万円の高値で出されていたそうです。その伊佐美も最近は、4千円から5千円前後で入手できるようになりました。
   
なかなか入手困難で高価な芋焼酎が『3M』と呼ばれる『森伊蔵』『魔王』『村尾』です。3Mとまではいかないけど、ちょっとレアでいま話題になっている芋焼酎の話しです。 
 
 甑州(そしゅう)
 
薩摩半島の約38km西方の東シナ海に浮かぶ甑島(こしきじま)列島の南端、下甑島の手打は、コミック・テレビドラマで話題になった『Dr. コトー診療所』のモデルになった診療所があることや、歌手・森進一さんのお母さんの出身地で『おふくろさんの歌碑』が建てられていることなどで知られています。
 
その手打にある明治41年(1908)創業の吉永酒造で造られているのが『甑州』です。さつまいも(黄金千貫)を原料に、米麹(白麹)、常圧蒸留、かめ仕込みで醸しあげた芋焼酎で、仕込み水には、『こしき海洋深層水』を 100%使用。稀少な焼酎で、鹿児島県内でも正規取扱店が少ない。3,000〜5,000円(1,800ml)。
『甑州』(そしゅう)(吉永酒造)720ml
 
 三岳(みたけ)
  
世界自然遺産登録の屋久島にある三岳酒造が、数千年の杉の原生林で濾過された名水を用いて仕込んだ芋焼酎。三岳酒造は、昭和33年(1958年)に鹿児島県姶良郡にあった蔵元を買収し、屋久島へ移転して芋焼酎造りを始めました。酒名は、屋久島にそびえる三つの山(宮之浦岳・永田岳・黒味岳)のイメージに由来するそうです。
  
黄金千貫を原料に、米麹(白麹)、常圧蒸留。年間生産量が少ないため、貴重な焼酎となっています。取扱店に入荷する数量が少ない上、入荷してもファンが多いため、すぐに品切れとなるようです。2,500〜4,000円(1,800ml)。
  
 愛子(あいこ)
  
同じく屋久島の三岳酒造が製造する焼酎。さつまいも(黄金千貫)と米麹(白麹)を原料に、減圧蒸留による芋焼酎。2001年12月1日に、皇太子さま、雅子さまご夫妻に内親王・愛子さまがお生まれになったとき献上されたことで一躍有名になりましたが、元々地元酒屋に製造を依頼されて、1999年に誕生した焼酎です。
  
酒名は、古くから山岳信仰の山として崇められている屋久島の愛子岳(標高 1235m)にあやかって名付けられたもので、ラベルに愛子岳の雄大な姿が描かれています。発売元は(有)寺田商店。従来より製造本数を限定して販売されているため、たくさんの注文に対して十分に応じ切れていない焼酎。配便商品代金引換えで、一人一升瓶2本までの限定販売で、予約後数ヶ月待ちの必要あり。4,000〜6,000円(1,800ml)。
『三岳』(みたけ)と『愛子』(三岳酒造)、いずれも1,800ml
 
 薩摩茶屋(さつまちゃや)
 
3Mの一つ村尾を製造している村尾酒造は、薩摩川内(さつませんだい)市の市街から車で約20分程の山あいにある小さな焼酎蔵です。焼酎造りに強いこだわりを持つ杜氏兼社長の村尾さんは、麹造りから蒸留のチェックまでを一人でこなしつつ、 850石の焼酎を一人で仕込むのだそうです。ですから、製品は品薄が続くことになります。
  
その村尾酒造のレギュラー銘柄が『薩摩茶屋』です。酒名は、近くの史跡・薩摩藩公御茶屋跡にちなむ命名で、長閑な山村の佇まいが描かれたラベルが印象的です。原料はさつまいも(黄金千貫)で、麹米にタイ米を使用し黒麹で仕込み、昔ながらの甕壺を用いて醸造。2,500〜4,000円(1,800ml)。
『村尾』と『薩摩茶屋』(村尾酒造)、いずれも1,800ml
  
 佐藤(さとう)
  
霧島山系・関平の名水に恵まれた鹿児島県霧島市牧園町の佐藤酒造で製造される芋焼酎。原料は黄金千貫で、白麹仕込みと黒麹仕込みがあります。白も黒も、 7,000円から一万数千円のプレミア価格がついていますから、3Mに迫る勢いのある焼酎です。日経新聞『専門家が薦める焼酎』(2002年)で1位に選ばれた実績もあり、じっくり味わってみたい焼酎です。
  
 わが家の18年もの
  
最後に、わが家の暗室倉庫に残っている18年ものの芋焼酎の紹介です。皇太子さまと雅子さまがご結婚されたのは、今から18年前の1993年(平成5年)の6月9日のことでした。実は、めでたいことにその日は現在住んでいるわが家の上棟式の日でした。
  
その上棟式の祝にもらった芋焼酎を30数本、暗室倉庫に寝かせ続け、4年前(14年もの)から飲み始めました。暗室倉庫は以前葉タバコ乾燥場だったもので、内側は土壁になっていて、扉を閉めれば密閉された暗室になります。
  
銘柄は、町内の焼酎蔵で製造された『園乃露』(植園酒造)と『紫尾の露』(軸屋酒造)と『伊勢吉どん』(小牧酒造)。ラベルはぼろぼろになり始めていますが、中身は全然劣化しておらず、とてもまろやかでストレートで飲んで最適です。焼酎飲みに大変好評ですが、残っているのは8本だけになってしまいました。
  
以上、著者の回りで話題になっているちょっとレアな芋焼酎の紹介でした。
『園乃露』(植園酒造)と『紫尾の露』(軸屋酒造)
わが家の18年もの芋焼酎(写真は飲みかけ)
 
−  写真はいずれも自宅で撮影 −

  2011.11.16 
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