俳句鑑賞 | サングラス、夏帽子 |
− 俳句鑑賞 サングラス、夏帽子 −
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5月も終っていよいよ6月。梅雨の季節ですが、紫外線の量は6月が一番多いということですから、紫外線対策に注意が必要です。紫外線対策に重宝されるものにサングラスや夏帽子あるいは日傘(パラソル)などがあります。 サングラスは、本来は強い紫外線から目を保護するものですが、最近はファッション性が高くなり、毎年その年の流行によっていろんな形や色のものが売られています。起源は明らかではありませんが、古代ローマ皇帝ネロ(在位54 〜 68年)も円形闘技場の催しを観戦する際にエメラルドのレンズを入れた眼鏡を使っていたといわれます(ウィキペディアを参考)。 サングラスは夏の季語で、おもしろいたくさんの句が詠まれています。サングラスをかけると容姿や雰囲気が変わって新しい自分の発見があるかも知れません。 外すまで美女でありけりサングラス 末廣紀惠子 眼のほかは長所なき顔サングラス 吉村ひさ志 サングラス優しさがこぼれ落ちぬよう 片岡秀樹 サングラスをかけると自分の目の動きを外部から悟られないので、視線がぐんと大胆になります。普段なら視線を外すような相手でも目をそらさずにおれます。そして気分まで大胆に。 サングラス変身願望誰もあり 安冨耕二 大股になるよサングラスして横浜 川角曽恵 変身願望が高じて、人の妻であることや人の親であることをやめてもらったら困りますが、サングラスをかけて暫(しば)し独り身になった気分でリフレッシュしてみるのもサングラスの効用かも知れません。が、つぎの3つ目の作品は殿方にとってドキッとさせられる句であります。 サングラス人の妻たること隠す 辻田克巳 親といふものやめたサングラス 能勢京子 サングラス掛けて妻にも行くところ 後藤比奈夫 ちょっと変身気分を味わってみたいけど、夫や子供の前ではねぇ〜、とやはり躊躇するのでありますが・・・。下の句は江ノ島で詠まれた作品のようです(注:俳句では夫を”つま”とも読みます)。 夫を子をすこし遠ざけサングラス 木内怜子 一方、夏帽子は、夏の暑さを防ぐためにかぶる帽子の総称。略して夏帽ともいう。パナマ帽などの高級な帽子の他に麦藁帽子、カンカン帽なども含まれる。と俳句歳時記にあります。 夏帽子は、暑さを防ぐための実用品というだけでなく、おしゃれをコーディネイトするアイテムの一つでありますから、その日の服装や気分あるいは行き先などに応じて着用するということでしょう。 銀座には銀座のセンス夏帽子 松本青風 気後れのある日かぶらぬ夏帽子 稲畑汀子 夏帽を鏡の顔が拒みたる 稲畑廣太郎 そして、旅に帽子は付きものです。特に夏は帽子が欠かせません。夏帽子とともに、旅の思い出があります。 行き先の空に合わせる夏帽子 田坂妙子 旅に逢ひ旅に別るる夏帽子 井頭主水 ”鉄砲玉”とは、行ったきり戻ってこないことの例えです。朝早くからとっかえひっかえ帽子選びに余念のなかった女房殿。出かけたまま、どこで何をしているのやら。 日暮まで鉄砲玉の夏帽子 梶本佳世子 この夏、あなたもサングラスや夏帽子を楽しんでみませんか? |
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