コラム  ・げたんは   
 
− げたんは −
鹿児島に『げたんは』という一風変わった名前の駄菓子があります。黒砂糖と小麦粉などを混ぜてこねた生地を焼き、それを三角形や台形に切って、黒蜜をしみこませたものです。黒砂糖の素朴な風味が豊かで、県民に長く愛されてきています。
 
名前は鹿児島弁の『下駄(げた)の歯』から来ています。理由は形が似ているからですが、その色合いから、泥に濡れた下駄の歯に結び付けた発想はいかにも薩摩らしくて面白いです。
 
鹿児島の駄菓子『げたんは』(南海堂)
 大隅横川駅(JR九州・肥薩線)2015.06.15撮影
  
今年(2015年)3月1日の南日本新聞によると、この『げたんは』の発祥の地は、あの百十二年の木造駅舎で知られる横川(現・霧島市)だそうです。鹿児島と熊本方面を結ぶ交通の要地だった大隅横川駅あたりはかつて大口(現・伊佐市)周辺からの米の集荷地にもなっていて、1903年(明治36年)に鉄道が開通するまで荷馬車の作業員でにぎわったそうです。
 
その頃、地元のお菓子屋さんがお茶うけ菓子として作っていたのが、『げたんは』でした。当時は、『横川菓子』、一銭で売られていたことから『一銭菓子』、あるいは『三角菓子』と呼ばれ、親しまれていたそうです。甘いものがまだ贅沢品だった当時、荷役の疲労回復にうってつけのお茶菓子だったことでしょう。
 
横川の『げたんは』は時代とともに地域で作られなくなり、70年来途絶えていましたが、11年前の2004年に地元の食生活改善推進員の方が復元に挑戦し、試行錯誤の末、昔ながらの味を再現させました。
 
喜界島の黒糖などを使い、全てが手作業でつくられる『元祖横川げたんは』は、土日曜日のみ午前10から、大隅横川駅で売られています( 200円)。秋以降は箱入りの販売もあるそうです。
 
【参考サイト】
(1)肥薩線100年旅行(本物の旅かごしま)
(2)築後百年の木造駅舎(1)〜大隅横川駅
(3)大隅横川駅(2) − 鹿児島県霧島市

  2015.07.01
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