雑感  ・世界一かっこいい国   
− 世界一かっこいい国 −
GNP(国民総生産 Gross National Product )は、経済的な国の力を表す指標ですが、国力には、経済的な指標だけでは測れない力もまた存在するとして、米国の若手ジャーナリスト、ダグラス・マックレイ氏が提唱したのが、GNC(Gross National Cool 国のかっこよさ度、あるいは国民総文化力)です。
 
Cool(クール)は通常、涼しい、冷たい、冷静な、などの意味で使われますが、米国では俗語として、『申し分ない』『すばらしい』『かっこいい』『いかす』という意味にも使います。Gross National Cool の Cool は、後者の意味で使われています。
 
世界一かっこいい国といったら皆さんは、どこの国を思い浮かべますか? かつては、シャンソンやパリジェンヌのフランスや、ロックンロールやジャズ、ハリウッド、ポップ・アートのアメリカが世界一でしたが、今、世界一かっこいい国は実は、日本だというのです。
 
『メード・イン・ジャパン』は、今やソニーやホンダだけでなく、カップ麺、ウーロン茶、おにぎり、常に新しいデザインに挑戦する日本の建築物やファッション、料理、科学技術と文化を融合させたゲーム機やロボット(アイボやアシモなど)、そして、アニメにコミック誌、ポップ・ミュージックなど、日本発の文化が世界を席巻(せっけん)しています。
 
今の日本の親の世代がディズニーを愛したように、今のアメリカの子どもたちは、ポケモンやデジモンや遊戯王を愛し、セーラームーンの人気は丁度、昔の日本人にとってのポパイやトム&ジェリーのようだといわれ、欧米はもちろん、アジア、アフリカ、アラブ諸国も含めて世界中の誰もが憧れるポップ・カルチュー(大衆性を持った文化)というと、もはや日本のアニメしかないそうです。
 
このように、世界中に様々な文化を発信している日本は、『いけてる国』、すなわちGNCナンバー・ワンの国というわけです。しかし、少子高齢化社会、二極化、格差社会、青少年の犯罪やいじめや自殺、若年者の雇用問題などなど、世界一かっこいい国といわれても、当の国に住む者の日常の実感からすると、本当かな? という気がしませんか。
 
今、世界中からかっこいいといわれている日本の文化力は、日本の風土や国民性、日本人の情緒や美意識や感受性などに立脚したものに違いありません。憲法改正問題、北朝鮮の核実験に端を発して急浮上してきた核武装問題など、今わが国は内政だけでなく外交でも岐路に差し掛かっているように思われますが、『この国の価値尺度』を堅持し、文化面においてだけでなく、内政および外交においても、かっこいい国と呼ばれる国であって欲しいと思います。
 

2006.11.08 
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