レポート | ・ピーチ 〜 LCC(格安航空)初体験 |
− ピーチ 〜 LCC(格安航空)初体験 −
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天保13年生まれの薩摩藩士に村橋久成(ひさなり)という人はいました。藩命で薩摩藩英国留学生の一人としてイギリスに留学し、帰国後、戊辰戦争に参加。のち開拓使につとめ、明治9年に開拓使のビール醸造所(現サッポロビールの前身)を誕生させました。 しかし、野望と利権が渦巻く開拓使官有物払下げに失望し、突然辞職して行方をくらまします。11年後の明治25年、神戸の新聞に行路病者死亡の広告が出ます。この村橋久成ゆかりの札幌開拓使麦酒醸造所(サッポロファクトリー)を札幌に訪ねたいと長年思ってきました。 そこへ、愛知県豊田市で働く長男が今年1月から1年間の予定で北海道苫小牧市に単身赴任となりました。激励を兼ねて行かない手はないなと、思いはさらに膨らみますが何せ旅費がばかになりません。羽田空港で乗り換えて鹿児島空港から新千歳空港まで、定価だと往復で8万円近くかかります。 ところが、今年(2012年)4月に、格安航空会社(LCC :Low-Cost Carrier)であるピーチ(Peach Aviation ピーチ・アビエーション)が大阪(関西空港)− 鹿児島線を開設し、往復3万円で北海道へ行けるようになったのです。7月下旬にピーチを利用して北海道に出かけたLCC初体験をレポートします。
Peach Aviation 株式会社(ピーチ・アビエーション)は、全日本空輸(ANA)系列に属し関西国際空港(関西空港)を拠点としています。ブランド名を Peach(ピーチ)とし、桃色と紫色の中間色のフーシア色を基調にしたデザインが特徴的。就航路線と運賃は以下の通りです。 〔国内線〕 ・大阪/関西−札幌/新千歳(1日4便、4,790 〜 14,790円 ・大阪/関西−福岡(1日3便、3,590円 〜 11,790円) ・大阪/関西−長崎(1日2便、3,590円 〜 11,790円) ・大阪/関西−鹿児島(1日2便、4,290円 〜 13,290円) ・大阪/関西−沖縄/那覇(10月から1日2便で運航予定、4,790円 〜 14,790円) ※運賃は、ハッピーピーチの場合の片道・消費税込みの値段で、適用期間は2012年7月1日〜10月27日搭乗分(公式サイトより)。
〔国際線〕 ・大阪/関西−ソウル/仁川(5,280円 〜 23,980円) ・大阪/関西−香港(8,880円 〜 33,880円) ・大阪/関西−台北/桃園(7,080円 〜 28,880円) ※運賃は、ハッピーピーチの場合の片道の値段で、適用期間は2012年5月8日 〜2013年3月30日搭乗分(公式サイトより)。 運賃タイプには、『ハッピーピーチ』と『ハッピーピーチプラス』の2種類があります。ハッピーピーチの方が安いですが、受託手荷物(預け荷物)料金、座席指定料金、フライトの日付・時間変更手続き手数料が別途必要になります。ハッピーピーチプラスは、それらの付帯サービス料金がセットになったタイプです。
航空券予約・購入・キャンセルなどは、公式ホームページから手続きするのが基本で、コンタクトセンター(電話受付センター)や空港カウンタで行うと下記のように割高になります(下記の値段は、国内線、ハッピーピーチの場合)。 インターネット コンタクトセンター 空港カウンタ 新規予約手数料 無料 1,050円 2,100円 支払手数料 210円 210円 210円 変更手数料 3,150円 4,200円 5,250円 受託手荷物料金 (1個目) 1,050円 1,470円 2,100円 (2個目) 2,100円 2,520円 3,150円 (3〜5個目) 3,150円 3,570円 4,200円 座席指定料金 スタンダードシート 210円 420円 630円 ストレッチシート 840円 1,050円 1,260円
ストレッチシートとは、最前列の座席のように、通常の座席より足元が広いシートのことです。受託手荷物は、1個につき質量20kgまで、3辺の和が 203cmまでと決められており、機内への持ち込みは、一人につき、質量10kg以下、3辺の合計が 115cm以内(各辺が55cm×40cm×25cm以内)のものが一個まで無料で可能です。 上記のように、空港カウンタで受託手荷物や座席指定の手続きをすると高くつくので荷物の個数など事前にしっかりと計画を立ててインターネットで手続きを行って置く方が得策ということになります。なお、元々格安ですから、ピーチには早割のような料金設定はありません。一ヶ月前から予約しても直前で予約しても料金は同じです。
例えば、関西空港で乗り継いで鹿児島空港から新千歳空港まで行く場合、それぞれの搭乗区間に対して各種手数料を払う必要がありましたから、かかった運賃は往復で下記のようになりました。 鹿児島空港 ←→ 関西空港 航空券料金(往復) 8,680円 座席指定料金(スタンダード) 420円( = 210円×2 ) 手荷物料金(1個) 2,100円( = 1,050円×2 ) 関西空港 ←→ 新千歳空港 航空券料金(往復) 16,980円 座席指定料金(スタンダード) 420円( = 210円×2 ) 手荷物料金(1個) 2,100円( = 1,050円×2 ) ---------------------------------------------------------------- 合計 30,700円
さて、搭乗当日は、空港カウンタにある自動チャックイン機でチャックインして、手荷物を預け、従来と同様の方法で搭乗しましたが、気になるのはやはり座席の広さでした。 身長170cm 、体重70数kgの著者が座って(通路側を座席指定)、前の座席の背もたれと膝の間に拳(こぶし)が入るスペースがありましたから、著者にとってそんなに窮屈には感じなかったですが、もっと長身の人にはちょっと窮屈かも知れません。
飲み物は水を含めて出ませんので、金を出して購入する必要があります。座席ポケットに入れてあるメニューで料金を確認して注文します。ちなみに、ミネラルウォーターが 150円で、他の飲み物は、緑茶、コーラ、ジュースなど 200円でした(但し、すべて小さいサイズ)。他にも、食事、スナックなどが準備されています。 初めての経験だったのが関西空港での搭乗手続きでした。搭乗手続きは空港ターミナルビル内ではなく、関西空港駅をはさんで反対側にある複合商業施設のエアロプラザ2階の同社カウンターで行います。 利用客はエアロプラザ2階で自動チェックイン機を使用してチェックインし、手荷物検査と保安検査を行い、その後1階にあるランプバス乗り場からランプバス(南海バスが運行)で駐機場に向かいます。
一方、到着時は、駐機場からバスで移動しますが、バスはエアロプラザではなく空港ターミナルビルの北側(ビルの外側)にある団体バス乗り場に着きます。そこでバスを下車し、そこに荷物車が運んできた受託手荷物を受け取ります。関西空港におけるこれらの措置は暫定的なもので、同空港の二期工事で建設中の LCC専用ターミナルが完成する2012年10月末には解消する予定だそうです。 かくして、4泊5日の有意義な北海道(札幌・函館)の旅を楽しむことができたわけです。飛行機は座席が狭くはありましたが、鹿児島・北海道間を3万円で往復できることを考えれば、快適な空の旅でしたから、ピーチは◎の評価です。下記アドレスに関係画像をアップロードしてありますのでご覧下さい。
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