コラム | ・俳句鑑賞『ソーダ水』 |
− 俳句鑑賞『ソーダ水』−
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§1 ソーダ水(クリームソーダ) 炭酸ガスを水に溶かした、発泡性の清涼飲料水。無味なものをプレーンソーダといい、メロンソーダなど、種々のシロップを加え緑や赤の色を付けることが多い。砂糖や香料を入れた「サイダー」とは区別される。 一生の楽しきころのソーダ水 富安風生 空港のかかる別れのソーダ水 成瀬櫻桃子 ソーダ水方程式を濡らしけり 小川軽舟 §2 サイダー 清涼飲料水の一種で、炭酸水にクエン酸・香料・砂糖などを加えたもの。元々は林檎酒(シードル)を意味する英語であった。サイダーといえば、最も有名なのは「三ツ矢サイダー」だろう。バブル期にアサヒスーパードライが大ヒットするまで、アサヒ飲料の経営を支えた主力飲料だった。 サイダー売一日海に背をむけて 波止影夫 二階へ運ぶサイダーの泡見つつ 波多野爽波 あやふやなサイダーの味雨籠り 高澤良一 §3 ラムネ 炭酸飲料の一つで、炭酸水にレモンの香や甘味を加えたもの。レモネードからの転訛(てんか)といわれる。栓の代わりに瓶の口にビー玉がはめてあり、これを押し込んで飲む。ビー玉の入った独特の形のガラス瓶は郷愁を誘う。 唇にラムネの壜のいかめしき 相生垣瓜人 島去りぬラムネの玉を瓶に残し 中嶋鬼谷 少女期やラムネの瓶に舌吸はれ 高倉亜矢子 §4 氷水(かき氷、夏氷、氷小豆、氷苺、氷店、削氷) 削って雪のようにした氷に、各種シロップや茹小豆、餡、白玉、抹茶などをかけて食する。かつては氷を鉋(かんな)で削ったが、現在では機械削りになった。氷水が流行しはじめたのは、明治4、5年頃以降といわれる。「枕草子」にも登場するように古くから削氷(けずりひ)として食されていた。 山里や母を養ふ夏氷 暁 台 ここもまた誰かの故郷氷水 神野紗希 氷店一卓のみな喪服なる 岡本 眸 |
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