コラム | ・マツバボタン |
− マツバボタン −
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マツバボタン(松葉牡丹、学名Portulaca grandiflora )はスベリヒユ科の一年草。葉も茎も肉質。夏から秋にかけて、紫・紅・ピンク・白・黄・だいだい色など色とりどりの牡丹を小さくしたような鮮麗な五弁花を、日中だけ開きます。 学名のポルチュラーカはラテン語で門を意味するポルチュラに由来します。花が朝開き、夜に閉じる様が門を彷彿とさせることからこの名がついたと考えられています。葉が多肉質で貯水能力が高く、高温と乾燥に対して非常に強く、旱魃(かんばつ)にも衰えを見せないことから『日照草』(ひでりぐさ)とも言われます。 また、爪で茎を切って挿し木にすればすぐに根付くことから『爪切草』とも言われ、年々種が零(こぼ)れて新たな花が生え出してくるので『不亡草』(ホロビンソウ)とも言われます。開花期が6〜9月頃と長く、丈夫で生命力が強く世話がほとんどいらないため、夏の花として重宝されています。俳句では夏の季語とされます。 仔を連れて松葉牡丹は猫踏まず 林原耒井 子の涙ひとつぶ松葉牡丹かな 愛澤豊嗣 月日経ち松葉牡丹の町も好き 中村汀女 林原耕三(1887年〜1975年)は英文学者で俳人。俳号は耒井(らいせい)。福井県出身。1918年東京帝国大学英文科卒。在学中から夏目漱石に師事し、芥川龍之介らを漱石に紹介しました。年下の芥川らが東大を卒業して数年たってなお大学にいたというので『万年大学生』と呼ばれたそうです。 中村汀女(1900年〜1988年)は、星野立子・橋本多佳子・三橋鷹女とともに4Tと呼ばれた、昭和を代表する女流俳人。熊本県出身。夫の転勤とともに東京、横浜、仙台、名古屋など国内各地を転々とし、後に東京に定住しました。生活に密着した素直で叙情的な作品が多った。
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