レポート  芒種(ぼうしゅ)と芒(のぎ)   
 
芒種(ぼうしゅ)と芒(のぎ)
中国の戦国時代(紀元前5世紀〜紀元前 221年)に考案されという1太陽年の区分手法に二十四節気(にじゅうしせっき)があって、立春、啓蟄(けいちつ)、春分、夏至、秋分、大寒、冬至などがよく知られています。
 
一年のスタートである立春から数えて第9番目の二十四節気が芒種(ぼうしゅ)です。現在の暦では6月6日頃から次の二十四節気である夏至(6月21日頃)までの期間をいいます。
 
米や麦などイネ科の植物では、種子の先端に、長いものでは十数cmにも達する突起状構造物が形成されています。これを芒(のぎ)といいます。なお、ススキ(イネ科ススキ属の植物)のことを芒とも書きますが、ススキにも芒があることに由来します。
 
麦の芒(のぎ)
つまり、芒種は『芒(のぎ)を有する植物の種』を意味し、それらの穀物の種まきをする季節であることを告げているわけです。但し、実際には、現在の種まきはこれよりも早く行われています。俳句では、『芒種』は夏(初夏)の季語とされています。
 
  ごんごんと芒種の水を飲み干せり  夏井いつき
  干し傘のふと飛んでゆく芒種かな  小泉八重子
  芒種はや人の肌さす山の草     鷹羽狩行
 
さて、『芒(のぎ)』は、その表面に形成された鋸歯状の細かい棘(とげ)が、自然環境下では鳥獣による食害から種子を保護する役割、および動物の毛にからまって遠くに種子を運搬させる役割があると言われています。
 
このため、すべての野生イネでは種子の先端に非常に長い芒が観察されますが、面白いことに、ほとんどの栽培イネでは芒が観測されません。これは、農業を行う上で芒が形成されていると播種や収穫を煩雑にし、種子貯蔵の際の妨げになるとして栽培化の過程で選抜・除去されたからだと考えられています。
 
わが国の山間部での稲作においては、イノシシの食害が問題になっていますが、現在、イノシシの食害防除に芒を持つ在来イネが利用され、一定の効果がみえてきているそうです。
 
【参考にしたサイト】
 『大麦や小麦は芒があって、何故イネには芒がないのか?』
  〜イネが芒を失った理由の解明〜(名古屋大学 Press Release) 

  2020.06.03
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