コラム  俳句鑑賞 〜 ミモザ   
 
ミモザ
2月下旬、いま花屋さんに行くとミモザ(mimosa)の花を見ることができます。純粋な黄色ってこの黄色のことだと納得させられるような鮮やかで綺麗な黄色です。鮮やかすぎて目がくらくらしそう。そして花のふわふわ感も特徴的です。
 
  ミモザ咲き地球は青いとは言へず 後藤立夫
  少女期のふしぎな眩暈花ミモザ  堺信子
  透明な少女の時間花ミモザ    白澤良子
  発声の音域ひろがるミモザの午後 田村千代子
 
マメ科ネムノキ亜科の常緑高木で、ミモザと呼ぶ方が一般的ですが、本来ミモザはオジギソウを指す言葉であって、フサアカシアが正確な名前だそうです。オーストラリア原産で日本には明治初期に渡来しました。日本での花期は2〜4月頃で、香りがよく香水の原料にされることもあります。
 
俳句では春(初春)の季語になっていて、傍題季語として、花ミモザ、銀葉アカシアがあります。やはり明るい鮮やかな黄色が印象的な花なのですね。明るい内容の作品ばかりです。
 
  あり余る日のやうに咲くミモザかな 高崎登喜子
  この路地はみんな花好き花ミモザ  前田和子
  移り来てよき隣人と花ミモザ    山田弘子
  結構なミモザと云ひて仰ぎをり   高澤良一
 
  わが胸のさわぐに似たり花ミモザ  岩崎照子
  ミサあとの庭の饒舌ミモザ咲く   藤田 宏
   
3月8日は、国連が決めた『国際女性デー』だそうです。1904年3月8日にアメリカで女性労働者が婦人参政権を求めてデモを起こしたことがきっかけで、1910年にコペンハーゲンで行われた国際会議で『女性の政治的自由と平等のために戦う日』と提唱されたことから、国際女性デーが制定されました。
 
3月8日といえば、ちょうどミモザの花が満開の頃です。イタリアでは、3月8日を『ミモザの日』と呼び、男性が日頃の感謝の気持ちを込めて、妻や恋人、身近な女性にミモザの花を贈るのだそうです。
 
愛と幸福を呼ぶといわれるミモザの花を贈られた女性たちは、それを胸や髪に誇らしげに飾ります。この日、家事や育児から解放された女性たちは、女同士で外食したり、おしゃべりをしたりして束の間の自由を楽しみます。
 
  フィレンツェに女性の日あり花ミモザ 志村幸子
  さんさんとミモザかかへて夫帰る   小池文子
  ミモザ手にノオトルダムの影を行く  小池文子 
  花ミモザ子よりの文は海越えて    石井美代子
 
ミモザ(mimosa)
ミモザ(mimosa)
ミモザ(mimosa)

  2020.02.26
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