コラム  ・最近の作句から 〜 金目鯛ほか   
 
最近の作句から 〜 金目鯛ほか
つ金目鯛といえば伊豆が特産地ですが、トカラ列島海域(屋久島〜奄美大島間の海域)で鹿児島産が水揚げされていることを知ったのは、2019年の川辺二日市(南九州市川辺町)でのことでした。

有限会社カーマイン(鹿児島県指宿市)さんが運営する金目鯛専門のトカラ亭というお店があって、トカラ列島海域の水深350m〜800mの深海から一本釣りによって金目鯛を一尾一尾大切に釣り上げているそうです。

その金目鯛で作る漁師こだわりの一夜干し『金目鯛御神酒干し』は、2014年の鹿児島県漁業振興大会水産物品評会で鹿児島県知事賞を受賞しました。その一夜干しが川辺二日市で売られていたのです。

『御神酒干し金目鯛』(2019年2月2日、川辺二日市にて)

2009年に60歳の退職記念を兼ねて家族旅行で伊豆に出かけた際、東伊豆の片瀬温泉の旅館で頂いた金目鯛の煮付けが美味しかったこと、熱海市網代の干物街道でお土産に干物を買って送ったことを話したら安くしてもらえました。

金目鯛は深海魚なので年間を通して水揚げされますが、旬が12〜2月であるため冬の季語とされています。高級魚だけあって、煮付けにしろ、干物にしろその白身の味、食感が格別です。晩酌が美味い。

  晩酌やトカラの海の金目鯛

薔薇と書いて《ばら》とも《そうび》とも読みます。冬になっても咲き残っている薔薇のことを冬薔薇(ふゆばら、ふゆそうび)といいます。花瓶それも剣山が見えるほとの薄型で黒っぽい花瓶に冬薔薇が活けてあります。

剣山は錆びないようにステンレスが使われますが、姿を隠すため黒塗りにされています。そんな剣山に3本か5本の深紅の薔薇が刺されています。高さは少し段違いにされまっすぐに立っていて葉も深い緑。

  黒塗りの剣山に咲く冬薔薇

この句の場合、《ふゆばら》と読ませると、音が優しすぎ、柔らかすぎます。《ふゆそうび》という漢語の読みの方が鋭さを感じさせ、自己主張が強くなります。丸味を帯びた白っぽい深型の花瓶に薄いピンク系の薔薇が活けられている場合だったら、むしろ《冬の薔薇(ふゆのばら)》という表現がいいでしょう。

唐の高僧で奈良唐招提寺の開祖である鑑真は、聖武天皇の招きにより日本に渡航しようとしましたが、渡来は困難を極め、5度の渡航失敗や度重なる困難の末、両目を失明しました。

天平勝宝5年(753年)ついに坊津の秋目(南九州市坊津町)に上陸を果たし、日本に仏教の戒律や薬学の知識などを伝えました。坊津の鑑真像が、穏やかな小春日和の凪のなかで瞑目して故郷中国に向かい合っています。

  瞑目の鑑真像や小春凪


  2023.01.11
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