コラム | ・茶柱の話し |
− 茶柱の話し −
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2023年の11月8日は立冬でした。特に昼のあたたかさは冬という雰囲気ではないけれど、暦の上では冬到来ということです。やがてはやってくる真に寒い冬に心して準備をしようと言うのが立冬の意味でしょう。一句詠んでみました。 茶柱の嬉しき朝や冬に入る 渡 茶柱が嬉しいとは、昔から「茶柱が立つと良いことがある」というジンクスがあるので、縁起が良くって嬉しいという意味です。茶柱は、日本茶をいれた際に混入されたチャノキの茎のことで、通常は番茶に見られます。 その茶柱が茶碗の中で縦に浮いた状態になることを「茶柱が立つ」と呼ぶのですが、茶柱が立てばなぜ縁起が良いのでしょうか。「大黒柱」や「床柱」などというように、柱には、物事を支えるものや人というイメージがあることによるようです。 そもそも「茶柱が立つ」にはチャノキの茎が混入していなければなりません。チャノキの茎が混入しているお茶は番茶(摘採期、品質などで主流から外れた番外の、比較的粗末なお茶)ということになります。 一説には、駿河の茶商人が質が劣るために売れ残る二番茶を売りやすくするために、「茶柱が立つと縁起が良い」という話しを吹聴したのが元になっているという俗信もあるようです。
品質の良いお茶にチャノキの茎が混入することは稀なので、茶柱が立つということは、比較的安いお茶を使っていることになります。したがって茶柱が立ったお茶を客に出すのは失礼だという考え方もできるわけです。 番茶を使っても、茶を抽出する急須のストレーナー(茶こし)の目が荒くないと茎は混入し難いです。ストレーナーの目が茎の太さよりも大きい形状の急須が近年は少なくなっているため、茶柱が立つことが近年稀になっています。 茶柱を立たせるには、茶柱の一方を他方より重くあるいは軽くして、釣り具の浮きのように立たせる必要があります。縁起が良いという俗信を利用して他の日本茶と差別化をはかるため、茶柱を意図的に立たせる日本茶も開発されているそうです。 【参考にしたサイト】 (1)茶柱 − Wikipedia (2)なぜ「茶柱が立つ」と縁起が良いの?(All About 暮し) → https://allabout.co.jp/gm/gc/487733/ |
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