コラム  ・海が割れる島   
− 海が割れる島 −
歌謡曲にあまり馴染みのない方には恐縮ですが、今週号は演歌にまつわるお話しです。『海が割れるのよ〜♪ 道ができるのよ〜♪ 島と島とが〜つながるの〜♪ 〜 』天童よしみさんの歌に『珍島(チンド)物語』(1996年、作詞・作曲/中山大三郎)という歌謡曲があります。著者のカラオケの持ち歌の一つでもあります。
 
朝鮮半島の南端部の韓国・全羅南道の南西端に、種子島と同じくらいの大きさの珍島(チンド)という島があります。海割れ現象が起きることで世界的に知られた島です。先ず、島の位置をGoogle Earth の写真で確認しておきましょう。
 
・珍島(チンド)と茅島里(モドリ)の位置を確認する。
 → http://washimo−web.p/Information/chindo.htm
 
珍島の東側には、さらに茅島里(モドリ)という小さな島があって、毎年春の大潮の日(日本のゴールデンウィーク頃)の何日か、干潮によって海割れ現象が起きて、幅40mm、長さ約 2.8キロメートルの道ができ、珍島と茅島里がつながるのです。この現象を見るために、外国の観光客を含め49万人あまりの人が集まって、海の道が完全に現れる約1時間の奇跡を見物するのだそうです。
 
『珍島物語』を作曲・作詞した中山大三郎さん(1941−2005年)は、宮崎県は都城市出身で、法政大学時代に作曲家の星野哲郎さんに師事し作曲や作詞の活動を始めます。夜の銀狐(斉条史朗)や人生いろいろ(島倉千代子)などの作詞を手がけていますが、アジアをテーマに人々の心をつかんだ曲を作ったことでも知られています。中国揚州無錫をテーマにした『無錫旅情』(尾形大作)、韓国・済州島をテーマにした『済州エア・ポート』(半田浩二)、そして『珍島物語』。
 
    霊登(ヨンドン)サリの 願いはひとつ 〜 ♪
    散り散りになった 家族の出会い 〜 ♪
 
    ふたつの島を つないだ道よ 〜 ♪
    はるかに遠い 北へとつづけ 〜 ♪
 
『珍島物語』の歌詞には、海が真っ二つに割れて島と島がつながる道ができることになぞらえて、南と北に分断された家族の再会、すなわち祖国朝鮮の統一を願う意味も込められています。 nakayama home.page さんの下記ページでメロディーを聴けるので、覗かせて頂きましょう。海割れの写真も見ることができます。
 
・『珍島物語』を聴く、海割れの写真を見る。
 → http://www1.ocn.ne.jp/~naka222/index2000322.html
 
さて、規模こそ小さいですが、日本にも海が割れる島があるのをご存知でしょうか。鹿児島湾(錦江湾)の入口、指宿市の海岸の 800m沖に周囲が3kmほどの知林ヶ島(ちりんがしま)という無人の島が浮かんでいます。
 
この島は、3月から10月にかけての大潮、あるいは中潮の干潮時に、長さ 800mの砂の道(砂州)が出現して海岸とつながり、歩いて渡れるのです。珍島のように何10万人という観光客が訪れてごった返すことはありませんが、道が現れる頃になると人々が集まってきて、片道20分の砂の道の散策を思い思いに楽しみます。
 
道が現れるのを待ち、出現した道を渡るときにはワクワク感がありますが、沈み始めやがて跡形も無い元の状態に戻るとなぜか切ない気持ちになります。下記に旅行記がありますので、ご覧下さい。
 
旅行記 ・知林ヶ島 − 鹿児島県指宿市
 
【参考にしたサイト】
[1]珍島海割れ紀行3(珍島旅行記)
 

2006.09.13  
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