俳句  ・ワシモ(WaShimo)の気ままに俳句   


   
(10月)
 
世代継ぐ子ども囃子の秋祭
 
二人居の月を家族に三人居
 
(9月)
 
落とし水家それぞれに灯がともる
 
猿酒を探せぬ夜の泣き上戸
 
掃く音のさざ波めくや涼新た
 
星月夜素直になれる夜もある
 
籠背負う島の坂道曼珠沙華
 
ぬかご飯木曽路は暗くなりにけり
 
糸瓜棚あって祖父母の元気かな
 
豚肉と糸瓜炒める昭和かな
 
名月や広い心になってみる
 
トンボロは風の遊び場秋あかね
(第22回トンボロ芸術村コンテスト・俳句部門・KKB鹿児島放送賞受賞作品)
 
(8月)
 
つくつくし計算の縦横合わぬ
 
手の所作に心あるのみ風の盆
 
不揃いの今は凛々しき茄子の馬
 
流燈や少年の日に戻る夜
 
お返しは両手に提ぐ大西瓜    
 
かけっこの子らの数だけ秋あかね 
 
新宿や空耳にきくつくつくし   
 
新涼やぴったりの靴履き下ろす
 
百年の駅舎に吊るす星祭
 
(7月)
 
遠泳の子の黒き肌父譲り
 
早暁に火事場騒ぎの時鳥
 
淡青に空は描くべし立葵
 
凌霄花陽は天頂を極めをり
 
初ものは匂いを食べる西瓜かな
 
子供らは低き自転車青田風    
 
サルビアや旅の街なるバレンシア  
 
廃校の金次郎像雲の峰
 
白亜紀の断崖黒く鹿の子百合       
 
夢うつつ寄せては返す蝉しぐれ 
 
(6月)
 
荒梅雨になりて出てゆく雨やどり
 
空梅雨や市電空っぽ午後の街
 
さなぶりや締めは十八番のハンヤ節
 
十薬の白さを洗う白き雨
 
モンペ履く母を偲べば半夏雨
 
(5月)
 
手毬の大花盛り宵明かり
 
四万十や縁なき橋のさみだるる
 
宿題はサインコサイン葱坊主
 
都まで泳げ爺やの鯉のぼり
 
命名の書のごとく鯉のぼり旗
 
(4月)
 
足摺の薫風は潮風に消ゆ
 
薫風のクルスに切らる京泊
 
猿面の出でてはじまる田植祭
 
乳飲み子をあやす乳房や柿若葉
 
追憶や蜜柑の花の降りつもる
 
(3月)
 
鋭角の角を溶かして春の雨
 
金婚や都ホテルの春灯し
 
卒業子大漁の日に島を立つ
 
遠野火の道より低き南阿蘇
 
坊津や幻化のごとく黄砂降る
 
(2月)
 
日向ぼこして陽のにほひ連れ歩く
 
薄紅に塗る妻の爪シクラメン
 
きじ馬も嬉しき球磨のひなまつり
 
築山に羽衣掛けて春の雪
 
特攻の地を悠然と鶴帰る
 
蕗の薹を煮るかほりに目覚めけり
 
霾や敦煌の絵の夢をみる
 
天ぷらになっても膨ら蕗の薹
 
豊の国老舗に飾る紙の雛
 
ふたり居や夕餉に添えるおもちゃ雛
 
(1月)
 
日向ぼこして陽のにほひ連れ歩く
 
小春日の夜の布団は陽のにほひ
 
石仏のほほをくすぐる冬紅葉
 
花石蕗の照らす足下や通夜帰り
 
遅番の母を待つ子や冬の月
 
暖流のくる小春日や甑島
 
熟成の酢甕を伝う霜雫
 
富くじのスカを引いても初笑い
 

 
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