イラスト歳時記  ・千両         Winter・冬 1月  




松の若木を伐採するのを止めようということで、門松を立てない時期があったのですが、最近、門松用若木栽培がさかんになってきたこともあってか、立派な門松を目にするようになりました。鹿児島県薩摩地方の昔ながらの門松はそんなに立派なものではありません。木戸の入口の両側に杭(くい)を打ち、その杭に高さが1mぐらいの椎(しい)の木や竹の潅木(かんぼく)をひもで結んで立てた簡素で素朴な門松です。根元にはシラスを置いて山の形に盛土して、松やゆずり葉などの枝をさして飾ります。お正月飾りに欠かせない千両は、関東南部以西の各地に分布する常緑低木で、もともとは和名は「仙蓼」であったのが、江戸後期に深紅の実を大金にたとえて「千両」があてられるようになったようです。正月用に栽培されているのでしょう。花屋さんには、家の築山に植わっている天然物とは到底比べものにならない見事な千両が売られています。そんな見事な千両をいくらか買い求めてきて添えると簡素な門松も彩(いろど)りを得て引き立ちます。いくらか艶(あで)やかになった木戸先を通り雨が濡らしています。(2004年1月)

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