イラスト歳時記  ・芍薬(しゃくやく) Spring・春 5月  




芍薬(しゃくやく)は、ボタン科・ボタン属の花で、大地が生と性に目覚める春から初夏の季節に開花します。「立てば芍薬、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合の花」と、美人の形容に用いられるように、昔から広くその美しさが認められ、愛されてきました。意外なことに、花言葉は「内気」「恥じらい」「はにかみ」です。中国では、牡丹の「花王」に対して、芍薬は「花相」(花の宰相=王の政務の補佐)と呼んだそうです。牡丹に比べて「内気」ということでしょうか。云われれば、花びらを淡いピンク色に染め、五分開きのまま佇んでいる姿は、どこか恥らっているようでもあります。そして、しなやかで爽やかで、落ちついた大人の女性を感じさせる花のようです。もともと日本には自生せず、奈良時代のころ中国から薬草として渡来したと云われています。名前も花の雰囲気もあまりに東洋的なので、ヨーロッパで薬草として、また観賞用として古代から好まれてきた花であることは意外な気がします。芍薬の洋名「ペオニア」(Paeoniae Radix)は、ギリシア神話の神々の医師(ペオン)に由来するほどです。帰省先の自宅の菜園に咲いていた芍薬の花をイラストに描いてみました。 (2003年5月)

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