イラスト歳時記  烏瓜(からすうり)   Autumn・秋 10月  




からすが食べ残したうりに見立てて『からすうり』と言うようになったんだそうです。岩波国語辞典で、『からすうり』を引くと次のようにあります。「山野に自生する、うり科の多年生つる草。巻きひげで他物にはいのぼる。夏、花弁の先が網状に細く裂けた白い花を咲かせ、秋の終わりに赤い実が下がる。塊根からとった澱粉(でんぷん)は天花粉など薬用。果肉は化粧料、また、ひび・あかぎれ止め。」 晩秋から初冬にかけての山野は、草花がすっかり枯れてしまったのに、からすうりの実のみが真っ赤な身なりでいつまでも残っています。食べることもないし、薬用や化粧料として使うこともなかったので、子供の頃はそれ以上の関心はなかったからすうりですが、例えば先日訪れた大分県杵築(きつき)の武家屋敷の土塀などに真っ赤な実が下がっていたりするとほっとするのです。からすうりの花をご存知でしょうか。赤い実の印象からはとても想像できない花です。夏、夕方から開きはじめ翌朝にはしぼんでしまいますが、長く糸を引いた5弁の白い花びらは、まるで夜に舞う天女の羽衣を思わせます。(2003年10月)

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