イラスト歳時記  ・姫檜扇水仙にハグロトンボ  Summer・夏 7月  




子供の頃、家の裏に畑があって、そこに行き帰りするのにちょっとした杉林を通り抜けます。その杉林には、夏になると草や潅木(かんぼく)が茂った中に、ところどころ姫檜扇水仙(ヒメヒオウギズイセン)が咲きます。小柄な花で、派手ではないですが、草木の濃い緑に朱赤色がよく目立ちます。そして、夕暮れどきになると、ひっそりとしていて少し暗い杉林には、決まって2〜3匹のハグロトンボが現れます。そっと見ていると、草に止まったハグロトンボは、ちょうど呼吸に合わせたような間合いで黒い羽を開閉させています。遠くでは、ひぐらしが鳴いています。姫檜扇水仙にハグロトンボは、子供の頃の夏の風景のひとコマです。 (2003年7月)

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