イラスト歳時記  ・枇杷(びわ)      Summer・初夏 6月  




田舎に生まれ育った制作者は、子供の頃、「おやつ」など準備してもらえるはずもなく、「おやつ」はもっぱら、野山に出かけて自給自足でした。梅雨の頃には、びわがありました。裏山の畑の土手に植えてあって、学校から帰るとカバンを放り投げて、熟れ具合を見に行ったものです。今、自転車で行き帰りする通勤路沿いには、びわの木を植えてある家が二軒あります。そのびわの実は、果物屋の店先においてある、たとえば「茂木びわ」のような綺麗な商品とはちょっと趣が違って、形がいびつなのや、尻が青いのやら、しなびたのなどがあります。美味しそうなのもありますが、他のそれらはきっとまだすっぱいはずです。そのためではないでしょうが、手が届くのに誰もちぎらないらしく、枝は沢山の実をつけて、塀越しにたわわに垂れ下がっています。びわを求めてたくさんの病人が集まってくるので、「びわの木は庭に植えるな」と言われるほど、びわは、その葉、種子、果実ともに薬効成分を多く含む果物です。(2003年6月)

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