レポート ・地球環境問題とは
                
 地球環境問題」として、(1)大量生産・大量消費による地球資源の枯渇、(2)合成化学物質による環境汚染、(3)地球温暖化、(4)オゾン層の破壊および(5)酸性雨の5つを取り上げ、その問題の内容、原因および対策についてまとめました。


(1)大量生産・大量消費による地球資源の枯渇
1)内容

 産業廃棄物が大量に排出され、環境が害されると同時に、地球資源の枯渇につながります。


2)原因
 大量生産、大量消費、大量廃棄による一方通行の廃棄型生産システムによって、製品を大量に安く生産し、市場にはありとあらゆる商品があふれ、使い終わったら、ゴミとして捨てる。そのような生産活動、消費活動が原因になっています。


3)対策
@省資源・リサイクルを推進する。

 廃棄物の抑制を図ることはもちろんですが、ゼロエミッション(どうしても出てしまう廃棄物を、他の製品の素材などにも利用して、最終的に廃棄物をゼロにするという考え)を推進する必要があります。例えば、スラグやダストまで含めた工場内リサイクル率の向上や、廃棄物を資源化して外部販売する。事業活動において製造工程、間接部門の業務から排出される多種多様の廃棄物を再生可能な資源として活用するなどです。
 そのためには、生産ラインを廃棄型から循環型へ変換させ、廃棄物を同一の製品の素材にもどすインバース・マニュファクチャリング(回収→ 分解・分別→ 再利用→ 生産の“逆工程”を生産システムに入れて、同じ製品のライフサイクルのなかで循環させること)を推進する必要があります。


Aエコデザインに取り組む。
 リサイクルしやすい材料の選定、部品を共通なものにする、商品の回収方法やルートを確立する、商品のライフサイクルを通して環境負荷を減らすなど開発段階から環境負荷を減らす設計を考慮します。すなわち、商品のライフサイクル全体を考え、環境効率を上げる商品(発生する環境への負荷が小さい商品)を設計するエコデザインの考え方を推進することが必要です。具体的には、下記のことを念頭において設計します。
・投入する資源、エネルギーをなるべく少なくする
・環境中に排出される環境負荷物質をなるべく少なくする
・使用段階における環境負荷を減らす工夫
・リユースやリサイクルのための設計


(2)合成化学物質による環境汚染
1)内容

 ダイオキシンなどの合成化学物質は、自然界の循環システムのなかではなかなか分解されないため、人や生態系に危険性を及ぼします。例えば、なかなか分解されない合成化学物質が魚の体内に入り、それを食料として食べることにより、私たちの口に入り、環境ホルモンとして作用してしまいます。


2)原因
 ダイオキシンや環境ホルモンなど、本来自然環境には存在しない合成化学物質が多種開発されたこと。


3)対策
 企業活動において新しい化学物質や材料の選定に際しては、未然防止的なアプローチをとり確実にかつ継続的に有害な化学物質、材料の削減に努め、有害である可能性を持つ物質についてはその代替物質を絶えず探求し、代替が可能となり次第その使用を中止する。
 例えば、被覆材にPVCなどのハロゲン物質を使用しない。絶縁樹脂材の安定剤として鉛化合物を使用しない。IC、コンデンサー、コネクタープリント基板等の端子(電極)用途の予備はんだでは、Sn-PbメッキをSn-Biメッキに替えて鉛フリーを実現する。化学物質の危険性を正確に理解し、適切な情報を提供、公開することをリスク・コミュニケーションといいます。非常に重要なことです。


(3)地球温暖化
1)内容

 温室効果により地球の平均気温が上昇しつつあります。


2)原因
 産業の発展に伴い石炭や石油などを大量に消費してきた結果、大気中の二酸化炭素の量が増加してきました。


3)対策
@省エネルギーを図り、二酸化炭素の発生を抑制します。

 具体的には、以下のような対策が考えられます。
 生産段階での徹底した省エネルギーや使用電力量の少ない製品の開発などによる二酸化炭素の排出量抑制。空調システムなどの改善(工程内空調送風機インバーター化による動力低減、エア供給系統改善による圧縮機動力の低減など)や製造工程内設備の計画的停止などの省エネルギー策。反応速度アップや収率向上など効率のよい生産プロセスへの転換。燃料使用量の計測・数値化による石油類の全体使用量の効率化。アイドリングストップの実施。「急」の付く運転の禁止。車輌のエコ化・小排気量化。効率のよい輸送システムの構築。トラック輸送から、環境への負荷が小さくコストも安い鉄道輸送への切り替え。二酸化炭素の排出削減にもつながる熱効率の向上を進める技術の開発など。


A二酸化炭素の発生が少ない燃料への切り替え


(4)地球温暖化オゾン層の破壊
1)内容

 地球上をおおうオゾン層は、生物を有害な紫外線から守っています。オゾン層がなくなれば、現在陸上に住んでいるほとんどの生物は太陽の有害な紫外線の影響で死滅するでしょう。近年、このオゾン層が破壊されてきています。


2)原因
 冷蔵庫やクーラーなどの家庭製品や、工業用洗剤やスプレーなどやに使われるフロンが無害でコストの安い便利な化学物質として、長年使われてきましたが、これが、大気中の「オゾン層」を破壊し、生態系へ悪影響を与えていることがわかりました。


3)対策
 各工場での洗浄用特定フロンの全廃、冷蔵庫などの製品用特定フロンの全廃とオゾン層破壊防止のための代替フロンの開発。


(5)酸性雨
1)内容

 酸性雨(硫酸や硝酸といった強い酸性の雨)により森林が枯れたり、魚の住めない沼や湖ができたり、生態系へ重要影響を及ぼしている。また、コンクリートや大理石でできた建物や文化遺産が破壊されつつあります。


2)原因
 火力発電所や工場、自動車や飛行機などから出される排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が水と化学反応をして硫酸や硝酸といった強い酸性の雨となり地上に降ります。


3)対策
 灯油や天然ガスなど硫黄分の少ない燃料の使用、工場における脱硫装置・脱硝装置の設置と徹底した燃焼管理・発生源の監視、自動車排出ガス抑制技術などの活用、エネルギー効率も高く無公害(水が排気ガス)な水素エネルギーや太陽電池の普及などにより、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)を含む排気ガスの排出を抑制する。