コラム  ・田舎暮らし   


−田舎暮らし−

田舎に暮らしていると、これからの時期は、草の成長との戦いです。草取りや草刈をちょっと怠ると、庭先や菜園、田畑の畦(あぜ)や土手が草ぼうぼうになります。だから、休日は草取りや草刈作業が日課です。


先週の日曜日も、田の畦(あぜ)と土手の草刈を済ませて帰りぎわ、竹やぶがうっとうしいので、刈払いしようと思ってやぶに足を踏み入れた瞬間、左足の親指先に針を踏んだような痛みが走りました。底の厚い長靴を履いているので、棘(とげ)を踏むはずがない、しまった!一瞬、そう思って長靴を脱ぐと、案の定、親指先にムカデが噛み付いています。枯れた竹にいたムカデが落ちで、長靴の中に入ったのでしょう。


瞬時に振り払ったのですが手遅れです。毒が廻りだして痛いです。ムカデに噛まれたときは、アンモニアで中和すると良いと言いますが、アンモニアはありません。一瞬、おしっこをかけようかというアイデアが浮かびましたが、田舎と言っても、結構車の往来があるのでそうもいきません。


家に帰っても、昔みたいにアンモニア肥料は置いてないので、焼酎で消毒して、痛み止めを飲んで堪えるしかありません。幸いに、そう大きなムカデではなかったので、腫れることもなく、2〜3日チクチクしただけで大事に至らずに済みましたが、本当に迷惑なことです。


草取りのないときには、例えば、すずめが、家の軒先の瓦の隙間に巣を作ろうとするので軒先に網を張り、庭先にちょっとした池があって、魚を飼っていると、鳥がつつきにくるので、池にも網を張らなければなりません。


かわいがって大事に飼っている我が家のアメリカンショートヘアーのオス猫・大(ダイ)までが、玄関の柱を爪とぎに使ってくれる始末で、我が家の玄関の2本の柱には、葦簀(よしず)を巻き付けてあります。その葦簀もそのうち劣化するので定期的に巻き付け直します。


つばめがやってくる時季になりました。田起こしの終わった田んぼから土やわらくずをせっせと運んで、つばめが軒下に巣を作ります。巣の下は、糞で汚れるし、卵を産みつける頃になると蛇が巣を狙いにきます。そんなことにも気を使ってやらねばなりません。


東西と北の三方に雑木林が控えている我が家(いえ)には、たぬきやいたちなどの小動物が訪れてきます。家の周りには、検知範囲内でものが動くと点灯するセンサーライトが取り付けてあります。家の裏に取り付けてあるライトが深夜の11時頃よく点灯すると妻が言います。「覗きじゃないよね!」「いや、簾(すだれ)が風にゆれて、感知するんだろう。」


そんな会話をしていた矢先の2、3日前の夜、妻が「きてきて!犯人がわかった!」と言います。そっと窓をあけて懐中電灯を照らしてみると、ムササビらしき小動物が菜園の金柑(きんかん)の木に張り付いて、収穫し残した金柑の実を懸命に食べているではありませんか。かわいいやら、可笑しいやらで、覗きでなくってよかったと胸をなでおろし合ったものです。


そんなこんなで、田舎暮らしには、草木や鳥・小動物などと共存していくために、ほとんど生産的でないことにエネルギーを費やす必要が結構あるのです。



2004.04.28