雑感  ・旅立つ若い人たちへ −働くということ−   
− 旅立つ若い人たちへ −働くということ−



この春、大学や短大、専門学校、高校等を卒業して職に就かれる皆さん、就職おめでとうございます。希望のところへ就職できて意気揚々の人、まあまあの人、それぞれだと思いますが、ともかく希望をもって前向きに踏み出すほかないですね。


やり甲斐をもって楽しく


給料や仕事の内容も大事ですが、いちばん不幸なことは、嫌々ながら働くということですね。一生の時間のうちで、職場で過ごす時間は大きな割合を占めます。そして、やはり仕事は生活していく基盤です。ですから、仕事は、やり甲斐をもって楽しくやりたいものです。朝、きょう一日の仕事の手順をイメージトレーニングしながら職場に向うようになったらしめたものです。


しかし、職に就いた当初から天職と思って、楽しく仕事ができるはずもありません。もっと自分に合った良い仕事が他にあるに違いないけど、先ずは食うために働かなければならない。一つずつ仕事を覚えては結果を出し、覚えては結果を出す。そうこうしているうちに、なんとなく楽しくなる。大方の人がそんなふうにして仕事を自分のものにして行っているのではないでしょうか。


仕事と仲良くなるには、こちらから喰(く)らい付いて行かないことには、仕事から近づいて来てはくれません。『石の上にも三年』といいます。まず、仕事の性格、癖、長所・短所を知って、三年越しに恋を実らせるぐらいの気持ちで仕事を口説いてみて下さい。そうしたら、きっと何かが見えてくるはずです。


【天職】
天から与えられた職務の意で、その人の性質・能力にふさわしい職業。
【石の上にも三年】
冷たい石の上でも三年も居れば暖かになるという意から、辛抱していれば、やがては成功するものだ。忍耐力が大切なことのたとえ。


食うために働く


とは言っても、いつもいつもやり甲斐をもって楽しく働くことができるわけではもちろんありません。きついとき、苦しいとき、やめたいと思うときもあるでしょう。むしろ、その方が多いかも知れませんね。そういうときは、「食うために働くのだ」「労働の対価として給料をもらっているのだ」という当たり前のことに立ち返り、居直って乗り切ることだと思います。「食うために働く」という基本原則は最低限、心のどこかにきちっと留め置くことが必要だと思います。


社会に貢献、そして自らの成長を


仕事の報酬(給料)や評価・処遇といったことには心が行きますが、仕事の果たす「社会的な役割」ということには、あまり着目されないようですね。どんな仕事でも私たちは、仕事を通じて誰かにサービスを提供しています。お互いにサービスを提供し合うことで社会が成り立っています。


最近の統計によれば、わが国の15〜24歳の若者で、求職を希望するが職に就けない、いわゆる失業者が68万人いて、それ以外に、求職を希望していないで職に就いていない若者が69万人いるそうです。その69万人の若者たちは、働かなくても経済的に食って行けるということでしょう。


69万人の人たちが働かなくても生活して行けるのは、そのほかの人たちが彼らの生活に必要なサービスを彼らに提供しているからです。経済的に食って行けるからといって皆が働かないでいたら、社会はまわって行かず、社会が成り立ちません。働くことで、必然的に社会に貢献している。そのことは、働くことの意義であり、やり甲斐であります。


社会と結びつきを持ちながら仕事をこなしていくことによって、私たちは社会に貢献すると同時に、自らの成長を遂げていきます。仕事の場は、専門的にそして人間的に成長を遂げていく場であるという認識を持ちながら、働くということをとらえて欲しいと思います。


長期的な視点に立った職業能力開発を


15〜24歳の若者のうち、137万人が職に就いていないのです。15〜24歳の若者のうちの5人に1人が職に就いていないことになります。137万人の若者が、職に就かないまま年を重ねていくと、わが国の若者層の職業能力が高まらず、経済全体の生産性が低下するので、社会にとっても大きな損失になります。


企業には、利益追求オンリーの短期的な視点で入口を閉ざすのでなく、長期的な視点に立って継続的に若い求職者を受け入れ、わが国の職業能力を継続的に高めていく態勢を取って頂きたいと思います。そうして頂ければ、若い人たちは、きっとそれに応えてくれると思います。


旅立つ若い人たちのご健闘を祈念致します!



2004.03.10  
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